知らない番号から電話がかかって来た。近くの郵便局からだった。母宛だった。
母は認知症で施設に入っているのでいないと言っても、保険の手続きをするときには窓口に本人が来てと言っていた。
母は判断能力がないので成年後見人を付けている。その旨を郵便局を含めて関係する金融機関に届けている。そのことも電話をかけてきた郵便局の人は知らないようだ。まあ、届けを出して登録していても、金融商品のセールス電話を平気で母宛にかけてくる信用金庫もあるけどさ。
さて、忙しいときにセールス電話をかけてくるもんだから、こちらとして意地の悪い黒い自分が出てきた。試しに
「成年後見人を付けていても、本人が窓口に行かないといけないのか?」
と聞いてみた。そうしたら、
「手続きによっては本人が窓口に行く必要があります。」
だそうな。
「認知症の母さんを施設から連れ出して、郵便局の窓口に行かないと手続きをしないといけないのか?」
と言うと
「そうなります。」
と言い放った。これは何かおかしいと思い、ますます私の中の意地悪な黒いものが大きくなって、
「成年後見人って知っていますか?」と聞いても、答えがなかった。知らないのだろうな。
「そちらには、成年後見人が付いたときの手続き方法のマニュアルが存在しますか?」
と聞いてみた。すると
「上に確認します。」
と言って電話が保留になったままになってしまった。ずいぶんと待たされたので、仕方ないので電話を切った。
電話を切られてから折り返しの電話もないから、ただのセールス電話なんだろうな。イヤな奴に電話したもんだ、と思っただろうな。
母宛のセールス電話で、「成年後見人」というキーワードを電話の向こうの人に言うと、面倒くさい人に当たったもんだということで、大抵の人は電話を切り上げてくれる。その程度で成年後見人の制度は使えるのである。その程度というのは、成年後見人は謎のキーワードということで、このキーワードを言うだけでセールス電話から回避することができるのである。
だけど、本当に成年後見人は理解されていないというのは実感できる。銀行でも制度を理解していない金融機関もありますので対応はまちまちなのである。中には驚くことに「成年後見人って何ですか?」と聞いてくる信用金庫もあるし、殊勝な銀行は初めての成年後見人が付いた顧客ということで、わざわざ手続きの仕組みを整えたところもあった。さすがに弁護士や司法書士、税理士などの士業の方々には、制度自体は理解されているけど、あまり士業の皆さんは面倒くさいの関わりないようにしているようだ。
では、高齢となった親に成年後見人を付けたら安心かというと、判断できない人が勝手に契約をすることができなくなるとか、資産の移動が自由にできなくなって安心というメリットがあるが、色々な制約と家庭裁判所への報告とかの面倒な手続きが多くなるし、何せ成年後見人の監督人(家庭裁判所が判断して勝手に付けてくれる)の弁護士なんぞが付いてしまうと、費用が毎年かかるというデメリットが大きいので、成年後見人を付けるかどうかはよくよく考えた方がよろしいかと思う。
今回の郵便局の電話を含め、郵便局に郵便業務以外の保険とか金融業務を任せてもよろしいのか、甚だ心配になる。かんぽの契約の不祥事の信頼回復も終わらないまま、こんなことをやっているとまだまだ何かやってくれるのではと思ったりするのであった。
面倒くさそうなセールス電話が来たときは、そのまま電話を切ってしまうのもありですが、時間と負けない心が持っているなら、「個人情報保護法」とか「特定商取引法」とか、自分でもよく理解していない小難しいキーワードを持ち出してみると、これはヤベー面倒くさい奴に電話をしたもんだ、と思われて、急に相手が電話をする気が無くなってくるのがわかるのがよくわかる。これでセールス電話の名簿業界でブラックリストに載ってしまって、二度とセールス電話がかかってこなくなるということになれば、個人情報保護からは情報が残ってしまうは問題だけど、セールス電話がかかって来なければ、それはそれでラッキーというものなのである。
高齢者への詐欺電話を防止するためにも、NTTはナンバーディスプレイを無料で提供すればいいのにと本当に思う。携帯電話は無料で着信番号表示をしているので固定電話でもできるはず。発信者通知は迷惑電話をかけてくる輩は嫌がるので、ナンバーディスプレイは本当に迷惑電話防止になる。ナンバーディスプレイに契約して対応した電話機ならば、発信者番号を通知しない詐欺電話は非通知になって拒否されるので、少しは安心である。これで詐欺電話は随分と減るので、NTTのナンバーディスプレイは詐欺電話撃退にはお薦めなのである。
とずっと書いているけど、ようやくNTTが高齢者向けにナンバーディスプレイが無料になりました。記事はこちらから。